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糖鎖とは

What is Glycobiology

「糖鎖」は、糖が生命の規則に従ってつながった鎖です。

核酸(ゲノム)、タンパク質に続く第3 の生命鎖として、幅広い生物種に発現しています。
その多くが細胞表面のタンパク質や脂質に結合して存在しています。
糖鎖は免疫、発生、神経機能など個体から細胞レベルまで数多くの生命現象に関与する重要な生体分子です。
またその発現変化・構造異常は、がんや認知症など様々な疾患と関連しています。

糖鎖はその複雑性から、構造および機能の解析は非常に難しく、ゲノム、タンパク質に比べて、まだまだ理解が十分には進んでいません。第3の生命鎖「糖鎖」はいわば生命科学の最後のピースです。

糖鎖の研究が異分野と融合しさらに発展することで、生命の本質を明らかにすることができると考えられます。
糖鎖の構造・機能の解明は、各種疾患の理解にもつながり、疾患の超早期診断法、個別化医療、革新的な治療法・予防法の開発につながる可能性があります。

生命を知る:全ての細胞は糖鎖で覆われている

糖鎖は我々の全ての細胞の表面を覆っています。そして、個々の細胞の個性を決め、細胞と外界(他の細胞や病原体など)とのコミュニケーションを制御しています。このことから、糖鎖は特に、免疫や神経の機能、老化、また感染症、がん化、認知症など、多くの生命現象や疾患に密接に関わっています。さらに、タミフル等の糖鎖を標的とした医薬品が有効であることや、最近ではがん治療などに用いられる抗体医薬の効果が糖鎖を変えることによって100倍程度に高まるなど、糖鎖研究が医療へ応用できることがわかってきています。

糖鎖が様々な生命現象や疾患に関わることがわかってきた一方で、現状では糖鎖の研究は世界的に見てもまだ十分には進んでいません。つまり、生命というものを理解し、その知見を応用して医療に活かすためには、糖鎖の研究を進めて生命の本質をより深く理解する必要があります。

糖鎖研究によって生命を真に理解し
生命の真の理解へ

糖鎖は、核酸(DNA, RNA)、タンパク質を超える複雑さと多様性を持っています。そのため糖鎖の合成・分析・生物学的解析を行うためには高度な専門性が必要な場合が多々あります。
本拠点「糖鎖生命科学連携ネットワーク型拠点:J-GlyoNet」は、東海国立大学機構(名古屋大学・岐阜大学)糖鎖生命コア研究所(iGCORE)、自然科学研究機構 生命創成探究センター(ExCELLS)、創価大学 糖鎖生命システム融合研究所(GaLSIC)の研究者が持つ、様々な糖鎖の化学・生物学・医学・イメージング、分析、情報科学などのノウハウ、技術、機器類を用いて、糖鎖研究を支援させていただきます。これまで、糖鎖で困っていたり、その専門性の高さから躊躇されていたりしていた研究者の皆様のお力になれたら、と考えております。

本拠点はこれまで情報が少なかった第三の生命鎖「糖鎖」を含めた統合的な研究を進めることによって、核酸、タンパク質研究だけでは成し得なかった、真の生命原理の理解とその応用を皆様とともに目指します。